相続放棄と光熱費

文責:所長 弁護士 白方 太郎

最終更新日:2022年03月11日

1 相続放棄の際に問題になること

 相続放棄を検討している場合、気を付けなければならないことがいくつもあります。

 その一つに、法定単純承認事由に該当する行為が挙げられます。

 これは、相続放棄が認められなくなる可能性のある行為のことをいいます。

 被相続人の光熱費については、具体的には次のような問題がありますので、注意が必要です。

2 光熱費の支払い

 原則として、被相続人が利用名義人になっている光熱費は、被相続人の債務であることから、相続放棄をする場合には支払う必要がありません。

 銀行引き落としになっている場合は、口座を凍結してしまいましょう。

 もっとも、すでに支払ってしまったという場合もあります。

 もし支払い原資が、相続人の方のお金である場合、実務上は法定単純承認事由に該当しないとして扱われることがほとんどです。

 被相続人の金銭で支払ってしまった場合は、法定単純承認事由に該当する可能性があります。

3 解約

 相続放棄をした場合には、被相続人の光熱費に関する契約を解約することができないのが原則です。

 相続人でなくなってしまっているため、そもそも契約の当事者ではないことが理由です(もっとも、現実には、解約に応じてくれます)。

 このような場合、支払いも止まっていると思いますので、滞納を理由に電力会社やガス会社の方から、一方的に解除(法定解除)をしてもらうことになります。

 被相続人と元相続人が同居しており、名義を変更したいという場合も、一度法定解除をしてもらい、改めて元相続人が契約をし直すことが理想です。

 しかし、会社によっては、対応してくれないこともあります。

 相続放棄は、相続全体でみれば例外的なものであるため、会社側の現場担当者レベルでは、対応ができないことがあるのが実情です。

 このような場合、一度解約をせざるを得ないことがあります。

 光熱費に関する契約の解約については、法定単純承認事由に該当するか否かについて、解釈が分かれます。

 被相続人の法律関係を解消する行為という観点からは、法定単純承認事由に該当する行為ともとれます。

 一方、放置しておくと被相続人の債務が増え、相続財産の価値が低下するため、これを避けるための行為という観点からは、保存行為であり法定単純承認事由に該当する行為には該当しないともとれます。

 相続放棄等により、相続人が不在となった財産の管理をする相続財産管理人の実務においては、電気、ガス、水道、電話、インターネット等の契約の解除は管理行為とされ、裁判所の許可が必要な処分行為とはされていません。

 この観点からは、法定単純承認事由に該当する行為にあたらないと考える余地があります。

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